SAP SDモジュールとMM・FIの連携関係を徹底解説
SAP SDモジュールとMM・FIの連携関係を徹底解説
はじめに
SAPはモジュール間の連携が非常に緊密に設計されており、SDモジュール単体で業務が完結することはありません。本記事ではSD(販売管理)とMM(購買・在庫管理)、SD(販売管理)とFI(財務会計)の連携ポイントを具体的に解説します。
モジュール間連携の全体像
SD と MM の連携
連携ポイント1:在庫引当(ATP チェック)
受注登録(VA01)時に利用可能量チェック(ATP:Available-to-Promise)が実行されます。これはMMモジュールが管理する在庫情報(MARD・MARCテーブル)をリアルタイムで参照します。
- 参照テーブル:MARD(保管場所別在庫)/ MARC(プラント別在庫)
- 引当結果はVBEP(販売伝票納入日程)に格納される
- 在庫不足の場合:納期ずれの警告 or 受注ブロック
連携ポイント2:出荷確認(PGI:Post Goods Issue)
出荷伝票で出荷確認(PGI)を実行すると、MMモジュール側で在庫の実減少が発生します。これは最も重要な SD-MM 連携ポイントです。
- トランザクション:VL02N → 「出荷確認」ボタン
- MM側の動き:在庫数量の減少(MARD更新)/ 在庫移動伝票(MSEG)の生成
- 同時にFI側へ:売上原価(COGS)仕訳の自動生成
" PGI後の在庫移動伝票確認
SELECT mseg~mblnr mseg~zeile mseg~matnr
mseg~werks mseg~menge mseg~meins
mkpf~budat
FROM mseg
INNER JOIN mkpf ON mseg~mblnr = mkpf~mblnr
INTO TABLE @DATA(lt_goods_issue)
WHERE mseg~aufnr = @lv_delivery_no
AND mseg~bwart = '601'. " 601 = 販売向け出庫連携ポイント3:返品処理
顧客返品時(伝票タイプ:RE)は逆のフローが発生します。返品入荷確認(Post Goods Receipt)でMM側の在庫が増加し、貸方票発行でFI側の売上が減少します。
SD と FI の連携
連携ポイント1:与信チェック
受注登録時に顧客の与信限度額をFIモジュールと連携してチェックします。与信超過の場合、受注にデリバリーブロックが自動設定され、出荷できなくなります。
- 設定場所:FD32(得意先与信管理変更)
- 与信管理テーブル:KNKK(得意先与信管理)
- ブロック解除:VKM3(与信ブロック受注一覧)で担当者が手動解除
連携ポイント2:請求書保存 → FI 売上仕訳
請求書(VF01)を保存・転記すると、FIモジュールへ売上仕訳が自動生成されます。これがSD-FI連携の最も重要なポイントです。
| 勘定科目 | 借方 / 貸方 | 金額 |
|---|---|---|
| 売掛金(Accounts Receivable) | 借方 | 請求金額(税込) |
| 売上高(Revenue) | 貸方 | 請求金額(税抜) |
| 消費税(Tax) | 貸方 | 消費税額 |
- FI伝票テーブル:BKPF(FI伝票ヘッダ)/ BSEG(FI伝票明細)
- SDと FI 伝票の紐付け:VBRK の BELNR(FI伝票番号)フィールド
連携ポイント3:売上原価(COGS)仕訳(PGI時)
出荷確認(PGI)のタイミングでも FI への仕訳が自動生成されます。
| 勘定科目 | 借方 / 貸方 |
|---|---|
| 売上原価(COGS) | 借方 |
| 在庫勘定(Inventory) | 貸方 |
連携ポイント4:入金消込
顧客からの入金がFI側で登録(F-28)されると、売掛金残高がゼロになりSDの販売サイクルが完了します。
連携に関するよくある問題と対処
問題1:FI転記エラーで請求書が保存できない
原因:勘定科目の設定ミス(収益勘定決定:VKOA)または会計期間のクローズ。
対処:VKOA で勘定科目割当を確認 / OB52 で転記可能期間を確認。
問題2:与信ブロックで出荷できない
原因:顧客の与信限度額超過。
対処:VKM3 で対象受注を確認し、FI担当者と協議のうえ FD32 で限度額を変更または VKM5 でブロック解除。
問題3:PGI後に在庫がマイナスになる
原因:MMのマイナス在庫設定が許可されている場合に発生。
対処:MMBE(在庫照会)で在庫状況確認 / OMJ1 でマイナス在庫設定を見直す。
まとめ
SDとMM・FIの連携を整理すると以下のようになります。
- SD ↔ MM:受注時の在庫引当(ATP)/ 出荷確認(PGI)による在庫減少
- SD ↔ FI:受注時の与信チェック / 請求時の売上仕訳自動生成 / PGI時のCOGS仕訳
この連携を正しく理解することで、エラー発生時の原因特定や、モジュールをまたいだ業務改善提案ができるようになります。