SAP SDモジュール業務フロー完全解説:引合から入金回収まで
SAP SDモジュール業務フロー完全解説:引合から入金回収まで
はじめに
SAP SDモジュールは「引合 → 見積 → 受注 → 出荷 → 請求 → 入金」という一連の販売プロセスをシステム上で管理します。本記事では各ステップの業務内容・使用トランザクション・生成される伝票を詳しく解説します。
SDモジュールの全体業務フロー
各ステップの詳細
① 引合(Inquiry)
顧客から商品・サービスに関する問い合わせを受けた段階で登録します。引合は法的拘束力を持たない前段階の伝票で、見積作成の起点となります。
- トランザクション:VA11(登録)/ VA12(変更)/ VA13(照会)
- 伝票タイプ:IN(標準引合)
- 生成テーブル:VBAK(ヘッダ)/ VBAP(明細)
② 見積(Quotation)
引合に対して価格・納期・数量を確定させた提案書です。有効期限が設定でき、顧客が承認すれば受注に転換されます。
- トランザクション:VA21(登録)/ VA22(変更)/ VA23(照会)
- 伝票タイプ:QT(標準見積)
- 有効期限(GUEBG / GUEEN)の管理が重要
③ 受注(Sales Order)
SDモジュールの中核となるプロセスです。顧客から正式な発注を受けた段階で登録します。受注登録時に以下のチェックが自動実行されます。
- 与信チェック:顧客の与信限度額超過チェック(FI連携)
- 在庫引当:利用可能量チェック(ATP:Available-to-Promise)
- 価格決定:条件レコードに基づく自動価格計算
- 納期計算:出荷スケジュールの自動算出
トランザクション:VA01(登録)/ VA02(変更)/ VA03(照会)
④ 出荷(Outbound Delivery)
受注に基づいて商品を倉庫から出荷するプロセスです。出荷伝票作成後、以下のサブプロセスが発生します。
- ピッキング:倉庫から商品を取り出す(WM連携)
- 梱包:梱包情報の登録(任意)
- 出荷確認(PGI):Post Goods Issue — 在庫の実減少・MMへの在庫転記
トランザクション:VL01N(作成)/ VL02N(変更・PGI)/ VL10A(一括作成)
PGI実行のタイミングでMMモジュールへの在庫減少と、FIへの売上原価(COGS)仕訳が自動生成されます。
⑤ 請求(Billing)
出荷確認済みの出荷伝票をもとに請求書を発行します。請求書保存と同時にFIへの売上計上仕訳が自動転記されます。
- トランザクション:VF01(個別作成)/ VF04(一括作成)
- FI仕訳:借方「売掛金」 / 貸方「売上高」
- 伝票タイプ:F2(標準請求書)/ RE(返品)/ G2(貸方票)
⑥ 入金回収(FI側処理)
顧客からの入金を売掛金と照合して消込処理を行います。この処理はFIモジュール側で実施されます。
- トランザクション:F-28(入金登録)/ F-32(未決項目管理)
- 消込後:売掛金残高がゼロになり、プロセス完了
伝票フロー(Document Flow)の確認方法
SDでは受注から請求まで、すべての伝票がVBFA(伝票フロー)テーブルで連携されています。VA03の「伝票フロー」ボタンから一連の流れを画面で確認できます。
" 受注番号から伝票フロー全体を取得
SELECT vbelv vbtyp_v nachn vbtyp_n
FROM vbfa
INTO TABLE @DATA(lt_flow)
WHERE vbelv = @lv_vbeln_order.まとめ
SDの業務フローは 引合・見積(任意) → 受注 → 出荷(PGI) → 請求 → 入金(FI) という構造です。特に「出荷確認(PGI)」と「請求保存」の2つのタイミングでFI・MMへの自動転記が発生する点は、モジュール間連携を理解するうえで非常に重要です。